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コラム

コラム ◆ 競争が激化するエネルギー業界の6つの波に乗るために

 

競争が激化するエネルギー業界の6つの波に乗るために

未来のエネルギー供給基盤への道のり

 
投稿者:Mark Coyle, 最高戦略責任者(CSO)
mark.coyle@utiligroup.com

2018年6月15日

最近、私達はESG社の仲間と共に日本のエネルギー市場に参入し、2018年6月14日に開催された経済産業省主催の電力市場セミナー(Tokyo Power Market Seminar)では、講演を行わせていただく機会を得ました。日本では2年前に電力小売が自由化され、競争の激しい市場にあって非常に早い進化を遂げ、これに合わせるように新たな電力卸売サービス市場が登場してきています。英国では20年を要したことが、日本ではわずか5年で完了し、今後両者は共にエネルギーのデジタル化時代を経験することになるでしょう。私達にはお互いに学べることが数多くあり、またエネルギー市場の進む道は世界共通のはずですが、その達成方法や時期はそれぞれの国によって異なるはずです。今や日本は世界最大の単一エネルギー市場であり、世界中から市場参入に対する関心を集めつつあります。私達は、日本におけるエネルギー市場の発展に貢献し、持てる価値を競争の激しい新興市場のリーダーの皆様に提供して行きたいと考えています。対象となる方々は、国内の既存の市場参加者や新規参入者、さらにエネルギー供給の根本を変えるようなテクノロジーイノベーターとなるかも知れません。

現在のグローバル市場には、エネルギーのあり方を変革する大きな6つの波が存在します。以下にその6つを示します。

  1. (1) 価格競争を背景にした消費者側による選択
  2. (2) グリーンエネルギーへのシフト
  3. (3) スマート化(※アナログ電力計からスマートメーターへの移行)
  4. (4) 相互に接続されたエネルギーシステム
  5. (5) リアルタイムフレキシビリティ(※電力系統の安定度や信頼性をリアルタイムに維持する能力)の獲得
  6. (6) 自己最適化する自律的なエネルギーシステム

このような主要傾向は、順を追って現れるのではなく、混沌と絡み合いながら一度に現れるため、適切な道を選択することは誰にとっても容易ではありません。競争の激しいエネルギー市場の成熟化とグリーンエネルギーへの移行は既に進行中で、消費者へのエネルギー提供のあり方は、ここ20年間で大きく変化しています。グリーンエネルギーは「新たな常識 – New Normal」として、炭素ベースの資源と同じ価格になると期待され、大量に導入されることで、コストも大幅に下がってきています。ブルームバーグ社やその他の機関による研究がそのように表明しており、私達は、この加速的傾向を示している最新の 「Bloomberg Energy Report for 2018」をお読みになられることをお勧めします。

消費者にとって、新たな商品やサービスの購入および利用方法は、テクノロジーによって既に大きく変化しています。インターネットやモバイルアプリケーション、さらにスマートスピーカーやソーシャルメディアに至るまで、テクノロジーがリードする形で私達の選択肢は広がり、最高の利便性と価値を提供する対象を選択できるようになっています。今や私達は、自らの方法でこれらの選択肢を積極的に比較し、十分な情報を得た上で物事を決定できるようになっています。小売、旅行会社、保険、メディア、消費財などの分野はオンラインプロバイダーによって、政府や制度の助けを待つまでもなく、急速な変化を遂げています。従来型の現在の企業は、将来に向けた再生を行わなければ、新しいデジタル優先のプロバイダーに飲み込まれてしまいます。

80年代や90年代初頭、各国の政府はそれまで一体となっていた業界全体を分離し、新しい役割を与えることで、グローバルなエネルギー市場を確立しました。これらの役割は一貫しており、すべての主要な市場で依然として適切に保たれていますが、アンバンドリングの影響だけは、エネルギー小売業者の役割に違いをもたらしています。エネルギー小売業者の役割は、「プロバイダーを選択できる」というインターネット黎明期のニーズを満たす形と同じように拡大してきたのです。エネルギー市場に競争を促すために、選択を可能にするということが政府の明確な目標でした。啓蒙活動はまず、固定電話へのコール、郵送、人々が集まるショッピングセンターなどでの販売活動によって行われました。時を経て、このような活動は価格比較Webサイトや仲介業者、そしてEメールなどに移りました。エネルギー小売業者の役割もオンライン化されては来ましたが、その価格やサービス内容にはほとんど変わりがありませんでした。しかし、新しいテクノロジーの波が押し寄せれば、エネルギー小売業者自体の役割も変わり、このような状態が長く続くこともなくなるでしょう。

選ばれることに注力する段階から、エネルギーの競争モデルは「スマート」デバイスのメリットをお客様のために活用する段階に達しています。世界中でスマートメーターやセンサー、リアルタイムエネルギーモニターなどのテクノロジーが、自家発電の世界にまで浸透しはじめています。これらのデバイスは、お客様とサービスプロバイダーをリアルタイムで繋ぐ初めての仕組みとして、両者のエクスペリエンスを変革する可能性を秘めています。また一方で、消費電力や自家発電に関するデータが激増することで、市場や送配電事業者の要件に応じて進化する革新的な料金体系を生み出す機会にもなり得ます。エネルギー小売業者は、従来の電力供給者という立場から、消費者への継続的なメリット提供に焦点を当てた、テクノロジーをベースにしたデータ・インサイトサービスの提供へ移行しつつあります。このようなテクノロジーから利益を生み出す方法を熟知している新興プロバイダーが、成長機会に先んじて、彼らの技術力を発揮できる最高の場所だと感じる業界に参入することができます。

各デバイスをエネルギーサービスに接続することこそが、住宅、企業、市場、送配電事業者、サービスプロバイダーを横断する広範囲な「コネクティビティ」に向けた次の段階への第一歩となります。住宅にエネルギーを提供するサービスと同様、住宅のネット環境への接続は増加しつつあります。これらの個別のロケーションの内外をセキュアに接続することで、分散型基盤上に、統合されたデバイスとロケーションを持つことができるようになります。こうすることで、単に電力を一次送電網に供給するだけではなく、消費者レベルおよびコミュニティを跨ぐ、完全に統合された再生可能エネルギーの生成が可能になるのです。新しい専門プロバイダーは、消費者とエネルギーシステムとの間で相互に利便性のあるリアルタイムな新しいサービスを開発するために、個々の分散デバイスの最適化を始めて統合することができます。私達の社会は、今このスタート地点に立ったばかりであり、数々のお客様や多くのプロバイダーが新しい機会への参入を望んでいます。社会が電気自動車へとシフトしている状況と同様、このような動きは、エネルギー貯蔵とスマートメーターの組み合わせで可能になる、コネクテッド・エネルギー時代の一部となっているのです。

このような分散コネクテッド・テクノロジーを統合することで、エネルギーの可視化やパーソナライズを行い、個々の消費者に対応した最適化を行うという、エネルギー競争の第4フェーズが実現されます。このフェーズは、各デバイスが接続され、私たちの社会にとって有益な方法でエネルギーが消費され、システムへの負担が削減され、経済的見返りが得られるという「柔軟性に満ちた」エネルギーの時代と言うべきものです。競争の先端を行くプロバイダーは、私達が不便さを感じる間もないうちにエネルギーの自動化を図り、最小のコストで優れたエクスペリエンスを提供することに注力するでしょう。その時代の新しいエネルギー小売業者には、セキュアなテクノロジーに関する信頼と専門性が求められます。将来的にテクノロジーと最適化が大規模になると、エネルギーシステムは、どのようにして最適な統合化のメリットを享受できるか、「自律」時代の人工知能を使って自動的に見つけ出すようになるでしょう。

交通システムは、完全に電化される以前にこのフェーズに入っていました。もし人間が新しいテクノロジーを予測できるなら、私達はその構築を始める必要性を感じます。競争の激しいエネルギー市場では、徐々に進化が起きているのではなく、様々な革新の波が一気に押し寄せているのが真実です。今日では競争力のあるエネルギー会社が、最初のインターネット世代のニーズを満足するよう発展を遂げている途上ですが、いずれここに挙げた全ての波が一度に押し寄せてくるように思われます。エネルギー小売業者にとってのビジネスチャンスと課題は、このような変化の中で、どの道を選択し、どの分野のお客様にフォーカスするかという点にあります。素早く行動することで、十分な準備期間を確保し、優れたデジタル・ファーストの文化によってカスタマーエンゲージメントを確立することができます。どのような分野でも、新しいデジタルプロバイダーは、伝統的な既存のビジネスを駆逐しています。既存のプロバイダーは従前からのお客様を抱えていますが、新興プロバイダーは、白紙の状態からデジタル・ファーストの文化でお客様を魅了することが可能なのです。

革新を続けなければならないエネルギー小売業者を解放するサービスエコシステムを可能にした、自動化、統合化されたテクノロジーを開発することが不可欠です。ESGは、業界が持つ複雑さを排除し、優れたサービスをお客様に提供できるようにすることで、よりお客様にフォーカスした小売ビジネスの実現を可能にします。私達はグローバルに皆様と知見を共有し、競争の激しい主要エネルギー市場への参入を可能にします。私達は、未来のお客様が享受するであろうメリットを今日お届けすることができるように、皆様方と協力してまいります。